東京都からIターン
ガンバリーニ 杏子さん

私を元気にしてくれた酒田を、世界中に発信したい!!
穏やかな口調と、自然体な雰囲気から繰り出される流暢な英語とフランス語。
フランス人の夫・ピエール氏と酒田での暮らしを楽しみながら、地域を盛り上げようと活動するガンバリーニ 杏子さんが移住したきっかけとは?
積極的に酒田市をアピールしてくれる存在に、今後も注目です!
留学先での出会いが、酒田移住へと繋がっていた
神奈川県の鎌倉市で生まれ育ち、26歳で留学するまではずっと実家暮らしをしていました。大学卒業後、4年くらい「丸の内OL」として働きましたが、なんだか飽きてしまって・・・。人生をガツンと変えたいなぁと思ったものの、その時の自分にはスキルや強みがなくて転職も厳しいと自覚していたので、語学留学をすることに決めたんです。両親も以前から留学を薦めてくれていたので、語学がしっかり学べると評判が良かったスイスの全寮制の学校へ行くことにしました。学校ではずっと英語、街ではフランス語という環境の中、10ヶ月間スイスで生活しました。留学に向けて、日本でも英会話学校に通ってはいたものの、「入学したばかりの頃の杏子の英語、実は全然理解できなかったのよ」って、卒業の時に先生からカミングアウトされたのは衝撃的でした。英会話スクールの先生とはある程度コミュニケーション取れてたのに、通じてなかったの?! って(笑)。
スイスの学校に入って半年ほど経った春休み、寮も閉じるので日本に帰国しようかと思っていたんですが、親がフランスのニースにある語学学校の情報をくれたんです。「春休み中に行ってみたら? リゾート地だし良いところよ」って(笑)。ニースの学校の授業料と、寮が閉まっている間だけ住む予定だった学生マンションの家賃を足しても、日本との往復運賃より安かったので、「日本にいてもゴロゴロしてるだけだなぁ。フランス語も勉強したいし暖かそうだし、行ってみようかな」って軽い気持ちで行きました。ピエールとは、そのニース滞在中に友達に誘われて参加したホームパーティーで出会いました。
夫のピエールさんも、インタビューに加わっていただきました
スイスの学校の卒業式
学校の旅行でドバイへ
英語でのコミュニケーションは取れたものの、フランス語はほとんどしゃべれなかった私に、ピエールは会話の内容を説明してくれたり、つまらなくならないように気遣ってくれたりと、優しく接してくれました。この時は、後にこの人と一緒に酒田市へ移住することになろうとは想像もしていませんでしたけど(笑)。この短期留学でニースの雰囲気も気に入り、フランス語への興味も強くなったので、スイスの学校を卒業した後は、フランス留学をすることに決めました。その学校を卒業後はピエールが経営していたカフェでアルバイトをしながら、しばらくフランスで生活していました。
その後、私の一時帰国に合わせてピエールも来日し、結婚して日本で生活しようと考えていることを両親に話しました。ピエールが決死の覚悟で結婚の話を切り出したというのに、私の両親は「あ! そうなんだ~! ところでピエール、豆腐煮えたけど食べる?」などと、軽い反応で・・・。一人娘の結婚より食べ物のほうが大切なの?!って、ピエールは絶句したようです(笑)。
フランスと日本の両方で挙式しました
帰国して結婚後、両家で温泉へ
「杏子、ロボットみたい・・・」帰国後、ピエールから放たれた一言
日本に戻ってから私はゲーム関係の会社で働き始めました。ピエールは青年会議所の繋がりで様々な活動をしていましたが、酒田市の会社との出会いをきっかけに、酒田での仕事もし始めていました。
「日本人は会社のために働き過ぎている。もっと自分の未来のために働いたほうが良い」。帰国後の私の働き方をみてピエールはそう感じたみたいです。朝から晩まで働いて、その忙しさを飲み込むように夕食を摂って、眠るためだけに家に帰ってくる生活。休日は疲れて出掛けるのが億劫になり、日曜の夜には翌日からの仕事の算段をたてて・・・。「まるでロボットみたい」って言われました。だからこの頃は、働き方やプライベートの時間の使い方についてケンカになることも多かったですね。「会社では笑顔でいるのに、家では疲れた顔をしている。昔の杏子はいつもニコニコしていたのに」って言われても、「仕事で頑張ってるんだから、家では疲れた顔を見せたって良いじゃん!」なんて言い返してました。「家族の時間が一番大切」って考えのピエールには全く理解できなかったみたいですね。私自身は仕事内容も楽しかったし、やりがいを感じていたのでそれほど苦痛を感じていなかったんですが、体調を崩した時期もあり、だんだんと無理が重なってきているのは感じ始めていました。
実は幼少の頃に酒田行きの
特急「いなほ」に乗っていました!
それでもなかなか働き方を変えない私に業を煮やしたのか、すでに酒田と東京の二拠点生活をしていたピエールは「酒田に引っ越してしまえば、辞めるしかないだろう」って考えたみたいで、酒田への移住を提案されたんです。
それはそれで楽しそうだなぁとは思いつつも、万が一「なんか合わない」ってなったら困ると思って、ピエールが酒田で仕事をしているタイミングで何度か酒田に遊びに来るという「週末プチ移住」をしました。ただ、いざ酒田で生活してみると、清々しい環境や温かい空気感、美味しい食べ物に癒されて、すぐに「移住したい!」って思えました。ありがたいことに、東京で勤めていた会社を退職する際に、業務委託契約を結んで同じプロジェクトに関わらないかと誘っていただいたんです。なので移住後はテレワークで、以前の仕事をほぼそのまま続けていました。
在宅ワーク中にお邪魔しました
卵のツヤに驚いた移住5日目
ピエール曰く「仕事は変わってなくて、住む場所が変わっただけ。それなのに杏子は別人のように健康的になった」そうです(笑)。年末年始にニースへ行った際、ピエールの両親が酒田に住んでからの私を見て「昔の杏子に戻った」ってすごく喜んでくれました。
酒田市をはじめ庄内地域って食べ物が本当に美味しくて安くて、そういう食材が普通にスーパーで売られていて感激しましたね。移住して5日目、近くの焼き鳥屋さんに行ったんですけど、つくねの脇に添えてある卵黄がツヤツヤでプルンプルンで!! 思わずお店の方に「これはどこのブランド卵ですか?」って質問したら、「そこら辺で買ってきた卵だよ」って言われて・・・信じられませんでした(笑)。山形県には2つの空港がありますが、両方とも名前に「おいしい」が付くんですよね。 『おいしい庄内空港』と『おいしい山形空港』。初めて聞いた時は不思議でしたけど、実際に暮らし始めて色んなものを食べてみて納得!! 本当に美味しいものが多いです。私もピエールもお米をもりもり食べ、旬の食材を楽しむ食生活に変わりました。
ピエールの両親と相馬樓に行きました
酒田に来て生活の変化がもう1つ。念願だった猫のいる暮らしを送れているんです。小さい頃からずっとペットを飼いたいと思っていたのですが、両親が許してくれたのは金魚とハムスターだけで・・・。都内でピエールと住んでいたアパートもペットNGだったので、酒田に来てペットOKの物件に住むことが決まって迷わず猫を飼おうと思いました。ピエールはもともとノルウェージャンフォレストキャットという猫が大好きだったし、私も大きい猫を飼いたかったので、新庄市のブリーダーを訪れ、今飼っている『ぽんぽん』と出会いました。 在宅ワーク中の私のパソコンを通り道にして、謎のメールを会社に送信してしまったり、私たちの姿が見えなくなると仕切り戸をカリカリしてしまい、借家を出る時に思いのほか修繕費が掛かったりと苦い思い出もありますが、かけがえのない大切な家族です!
私が移住して心も体も元気になったのは、間違いなく美味しい食事と猫がいる暮らしのおかげです!
ツンデレな『ぽんぽん』に夢中
フレンドリーで開放的な酒田の気質にビックリ
酒田に来て、一番最初に驚いたことは、地域の人が優しくてフレンドリーだってことですね。引っ越しの挨拶回りをしていると、どのお家も気さくに自分のことを話してくれたり私たちに質問してくださり、玄関先で20~30分話が弾んだこともありました。東京ではお互い警戒し合う感じで、お隣さんと仲良くなるなんてありませんでしたが、こっちでは近所のお子さんが一人で遊びに来て、ピエールや猫と遊んで帰ったりするんです。人と人との温かみがあって、こういう空気感が大好きです。
あとビックリしたのは、お客さん側が玄関を開けながら「こんにちは~」って訪問先の家に入って行くことです。普通は、家主側がドアを開けてくれてから入りませんか?(笑) 移住当初、お届け物などでご近所のお家のチャイムを鳴らしても、どなたも玄関を開けて外に出て来なくて・・・。「は~い、どうぞ~」って声がかすかに聞こえたので、もう一度チャイムを鳴らすと「入ってきて良いのに~」って言いながらドアが開いて・・・。内心は「え! 勝手にドア開けるなんてダメでしょ?!」って思いましたが、地元の人からするとそれが自然なことみたいで驚きました。ご近所さん同士の信頼感があるからこそできることですよね。我が家は猫もいるし鍵を掛けるのが習慣になっていますが、安心して暮らせる場所なんだなぁと思いました。
酒田まつりで笛を吹きました
スノートレッキング
両家で上山温泉へ
移住3年目。色んなことにチャレンジします!
移住してしばらく経った頃、酒田市にあるインキュベーション施設「LIGHTHOUSE」でWebライティング講座というイベントがあることを知り、これからの時代はネット環境さえあれば私でも色々なことを発信できるかもしれないと思って参加したんです。参加するまでは知らなかったんですけど、その講座を主催した皆さんが、庄内のみならず各地で活躍する女性ばかりで! その後、その主催者の中のお一人である井東敬子さん(鶴岡ナリワイプロジェクト代表)から、「ナリワイ起業講座」へのお誘いを受けて、楽しそうだなぁと思って受講してみることにしました。そこに参加している皆さんは信念を持ったパワフルな方ばかりですごく良い刺激を受けましたし、実際の起業に向けたワークや課題、宿題があるので、実践力が培われました。私は、この夏にピエールと開店を目指す「ボードゲームカフェ」を想定して受講しました。最終講の成果発表会では、受講生それぞれが実際にイベントを企画・運営しなければならないのですが、私はボードゲームイベントを開催し、なんとか無事に卒業することができました!
ナリワイ起業講座、おススメです!
昨年の冬には移住してからずっと住んでいた借家を引き払い、大好きな中町の一画に中古物件を購入しました。ここでボードゲームカフェを開店するため、目下準備中です!
そして、この春から新たに2つの活動に挑戦することにしました。1つ目は「北庄内地域通訳案内士」です。今年3月に酒田市長から認定証を交付されたので、これから酒田市・遊佐町・庄内町の魅力を伝えていきたいと思います!
もう1つは「酒田市結婚サポーター」です。移住者で国際結婚している私たちだからこそ繋げる出会いがあるのではないかという気持ちと、単純に私たち夫婦を受け入れてくれた大好きな酒田市で、素敵な縁を見つける方が増えたら良いな、そのお手伝いが出来れば良いなという想いから、登録することにしました。どちらも活動は始まったばかりですが、酒田市の素晴らしさを全国に、そして世界中にPRしたいし、酒田市がもっと楽しい町になって賑わって欲しいと思うので、私たちに出来ることを頑張って行きたいなと思います。
ボードゲームイベントの様子
北庄内地域通訳案内士の認定証と
結婚サポーター証明書
酒田へ移住を検討している方へメッセージ
とりあえず、空気も水も食べ物も美味しいので、一度遊びに来て欲しいと思います。最初から「移住」って考えると重苦しくなっちゃうと思うので、まずは来てみて酒田をぐるっと回って、気に入ったポイントが見つかったり、心地良いなぁって思えたら、是非住んでみてください!! 私自身は、割と行き当たりばったりな人生を楽しめるタイプなので参考にならないかもしれませんが、あれこれ計画したり心配する前に、まず来てみて自分の直感に触れてみるのも大切だと思います。とはいえ、酒田市のホームページをチェックしてどんな制度があるか調べたり、移住相談窓口に相談などはしていましたよ。そのお陰で、移住者向けの中古物件購入に対する補助金制度を受けられたり、山形県が行っている「食の支援事業」を受けることができました。親身にアドバイスをもらえたり、関連しそうな団体を紹介してくれたりと、相談して損はないと思います!
私もピエールも、酒田市が、その中でも中町が大好きなので、この場所でたくさんの皆さんが集まって楽しめるような空間を作っていきたいと思っています!!
まずは一度遊びに来てください!
ボードゲームカフェの
店内レイアウトを打ち合わせ中
*ガンバリーニ夫妻のブログ『ボンジュール庄内』https://bonjourshonai.work/
*鶴岡ナリワイプロジェクトhttp://tsuruoka-nariwai.com/