富山県出身
志田 いづみさん

かけがえのない親子の時間をもっとハッピーに
2年間だけのつもりで酒田市での暮らしを始めた志田いづみさん。
そんな志田さんが酒田市で初となるベビーマッサージ教室【kaela~カエラ~】を立ち上げた理由とは?
ベビーマッサージ教室【kaela~カエラ~】の詳細や教室スケジュールはこちら
https://ameblo.jp/rta-kaela-baby/
日本海側に縁があるのかもしれません
富山県富山市の「おわら風の盆」というお祭りで有名な町で生まれ育ちました。学校を卒業後は医療事務の仕事に就き、新潟県出身の夫と結婚しました。夫との出会いは富山市の職場でしたが、お付き合いしている途中で夫が新潟市に転勤になったので、私は結婚を機に、初めて富山を出て知らない土地で暮らすことになりました。新潟市は高層マンションや商業施設が建ち並び、想像以上に都会で楽しかったです。新潟市で暮らしている時に長女を出産し、同じマンションに住むお友達同士のお家を行き来したり、近所をお散歩したりと穏やかな日々を過ごしていました。ところが、娘が生後6か月の時に、夫の酒田市への転勤が決まったんです。その時は正直「なんで我が家が・・・」という気持ちでしたね。酒田市のことは全く知らなかったですし、両家の実家からもさらに遠くなるので不安しかありませでした。ただ2年という期限付きの転勤だと聞いていたので、ゴールがあるんだからとりあえず頑張ろう、私って日本海側を北上しているなぁなんて楽観的に捉えている部分もありました。
ママたちの輪に入れず、子育て施設も遠のいた時期
酒田に来てすぐの頃は、ベビースイミングに入会したり子育て支援センターに遊びに行ったりと、知り合いを作るために積極的に出掛けていました。でも、他のママたちが親しげに会話しているのを見て、「きっと地元のお友達同士なんだろうな・・・。私が声を掛ける隙なんてないな。」とネガティブな感情が沸き上がってしまい、そういった遊び場から足が遠のいた時期がありました。それでもスイミングで定期的に顔を合わせるママと少しずつ話すようになり、支援センターで待ち合わせて遊んだりするうちに徐々にお友達が増えてきて、勇気を出して引っ越し直後に抱いた寂しさを話してみると、実は同じように感じていたママがすごく多くて、「な~んだ!一緒だね!」ってすごく盛り上がりました。その頃友達になった家族とは今もとても仲良しで、助け合える関係です。
ベビーマッサージ教室を始めたきっかけ
酒田へ引っ越して数か月過ぎた頃、市の広報誌で親子の触れ合い遊びイベントがあることを知ったんです。そういうイベントへの参加からは遠のいていたんですが、たまたま前向きな気持ちになって参加したところ、紹介された遊びの1つにベビーマッサージのようなものがありました。娘がとても心地良さそうにしていて私自身も楽しかったので、家でもその動きを取り入れて遊ぶようになりました。実はその頃の娘は生活環境の変化もあってか、昼寝はしないし夜泣きはするし、少し不安定だったんですが、そのマッサージのような遊びをし始めてすぐ、夜泣きが落ち着いてきたんです。ベビーマッサージの存在は妊娠中から知ってはいたものの、詳しくは知らなかったので色々と調べたら、娘に起こった変化と同じような効果があることや、その他親子の間にたくさんの良い効果があることがわかりました。
生後1か月からできるマッサージもあります
ベビーマッサージについて調べているうちに、私でも勉強すればもっとたくさんの手技を学べるのではないか、そして資格を取得すればベビーマッサージの良さを周りにも伝えられるのではないかと思うようになりました。そこから本格的に資格取得に向けて動き出し、2日間に渡る試験に合格してベビーマッサージの教室を開く資格を得ました。現在私が所属している乳幼児子育てサポート協会(※1)は、ベビーマッサージ以外にも親子で楽しめるお教室の資格認定を行っています。
資格を取得してすぐの頃は、自分で教室を開くことをリアルにはイメージしていなかったんですが、時間が経つにつれて手技や感覚が鈍ってしまいそうだったので、まずはお友達親子を招いて自宅で教室を開きました。そしたら予想以上に良い反応をもらって、さらに「酒田にはベビーマッサージ教室がないからやってみたら?」って背中を押されて、やってみようかなって考えるようになりました。夫からは反対こそされませんでしたが「大丈夫?知り合いもいない土地でどうやって集客するの?」とかなり心配されましたね。 ただ私の中にはずっと、自分で時間の調整ができるような仕事をしたいっていう思いがあったんです。私自身が小学生から鍵っ子で寂しい思いをしたので、自分は家にいて娘に「おかえり」って言ってあげられるような働き方が出来れば良いなって。なので、自分で教室を開くのはその部分もクリアするし、頑張ってみようと決めました。そして何より、私と同じように周りに身内や知り合いがいない環境のママや、孤独を感じながら子育を頑張るママたちが気軽に集まれる教室を作りたい! お友達に会いに行く気分で来てもらえるようなアットホームな空間にしたい! という思いから、起業を決心しました。
パパ向けの教室も♪
※1 産前産後のママの育児をあらゆる面で応援し、「産後うつゼロ」を目指し活動する団体。
https://kodomokosodate.com/
申し込みがなかったらどうしよう?!・・・自宅以外で初めてのお教室
始めは自宅を教室にして定員3組ほどで始めましたが、だんだんと手狭になってきたこともあり、レンタルスペースで開催することにしました。でも自宅外での教室が軌道に乗るまでは本当に大変でした! 振り返ってみてもその時期が一番辛かったかな~。 ママたちの輪に入るのも尻込みしていた私が、チラシを置かせていただくために乳幼児親子が行きそうなお店や施設に飛び込みで営業するなんて・・・、自分でもビックリでしたね(笑)。 説明を聞いて快くチラシを置かせてくれるお店もあれば、話も聞いてもらえないこともありました。そのチラシ作り1つとっても、幼い娘の世話をしながら作るので全然はかどらなくて大変でした。仕事から帰った夫に娘の相手をしてもらっている間になんとかチラシを作製したんですが、「そんなに苦労してわりに合うの? キャパオーバーなら辞めたら?」なんて言われたりしました。私も弱気になってしまって、「こんなに苦労しても、誰も申し込んでくれなかったらどうしよう・・・。お友達に頼んで参加してもらおうかな」なんて、最悪のシナリオまで想定しちゃいました。なので次々と申し込みの電話をもらった時は嬉しくて嬉しくて、「ありがとうございます!」って声がかなり高くなっちゃいました!! ありがたいことに定員に達するお申込みをいただき、夫からも「頑張った甲斐があったね!」って言ってもらえて、初回は無事に終えることができました。その後は、参加してくれたママがお友達を紹介してくれたり、SNSや口コミで浸透していって、今ではチラシを配布しなくても集客できるようになりました。
まずはオイルなどの説明とママのストレッチ
夫が転勤を断って、気づけば酒田生活8年目!
2年毎の転勤だったはずが随分過ぎたなぁと思って過ごしていたら、夫から「実は酒田勤務2年目に転勤の話が来たんだけど、酒田での暮らしが居心地良いから断ったんだよね」ってカミングアウトされたんです。ビックリはしましたが、娘にもお友達がたくさん出来たし、私も友達の輪も広がりベビーマッサージ教室も軌道に乗り始めていたので、むしろ嬉しかったですね。気付けばもう8年目に突入しています。富山出身なので日本海側の暮らしには抵抗なく馴染めましたが、冬の地吹雪だけは未だに慣れません。積雪は富山のほうが格段に多いですが、酒田では一見凍っているように見えない道路が実はツルツルに凍っていた・・・なんてこともあるので、冬の運転はすごく注意しています。
長女も次女も、酒田での生活を本当に楽しんでいますよ。夫も私も庄内弁は全然話さないのに、長女からネイティブな庄内弁が次々繰り出されビックリすることも多いです。冷たい水を触った時に「はっこい!!」って咄嗟に出るなんて酒田っ子ですよね(笑)。そんな娘たちは公園も大好きで、一番のお気に入りは飯森山公園です。鯉にエサをあげることができる池は大人気スポットで、たくさんの家族連れで賑わってますよ! 桜の名所でもある日和山公園は、丘の斜面を登ったり下ったりするのがすごく楽しいみたいで、エンドレスで走ってます。
鳥海山と桜をバックに
移住して困ったのは、自分が体調不良になった時かな。私が突然入院することになった時、富山の両親は急なこと過ぎて休みがとれず、新潟にいる義母が来てくれたんですけど、まだ長女も幼くママがいない生活にも慣れていなかったので、私が退院するまではドタバタだったみたいです。ベビーマッサージ教室を始めてからは、教室のある日に自分や家族が体調不良になると本当に困るので、子どもたちの体調管理には特に気を遣っています。こんな時、近くに甘えられる親族がいたら良いなぁなんて思っちゃいますが、頼れない分、家族みんなで協力しようって気持ちが強いかもしれません。
移住して8年、子どもが体調不良でなければ預かってもらえるお友達家族もできたので、イレギュラーで入る土・日曜日の仕事も安心して対応できるようになりました。
酒田での穏やかな暮らしが気に入っている夫
旅行も大好き家族です♪
酒田へ移住を検討している方へメッセージ
まず、酒田市は自然が本当に豊かで思いっきり遊べる広い公園や緑地がたくさんあるので、子育て環境がすごく良いと思います。保育園や認定こども園の数も多いほうですよね。私が小さい頃なんて、地域には1つしか園がなくて、近所の子供たちはその園に通うのが当たり前でしたが、酒田市の認定こども園はそれぞれに特色があって入園前に体験できる機会が何回もあって、選択肢があるって贅沢だなって思います。保育園だとそうもいかないかもしれませんが、どの保育園も園庭やホールがあって恵まれた環境だと思います。
海もあり山もある環境は酒田と富山はとても似ていて、いつでも新鮮で美味しい食材が手に入りやすいですよね。富山の実家からも食材が届くので、桜前線みたいに旬が北上していく梨などは、すごく長い期間食べられます(笑)。
住み慣れた場所を離れるのって不安が大きいですけど、まさに「住めば都」だと思います。私も酒田に来る前はかなりマイナスなイメージばかり持っていましたが、そんな不安、今は全くありません!
そして、私が起業してここまで続けてこれたのは、隣に誰が住んでいるかわからないような都会ではなく、人と人との繋がりや交流がある酒田市だったからだと思っています。生徒さんがお友達を紹介してくれたり、知り合いのカフェでコラボ企画が実現したりと、酒田市のようなコンパクトにまとまった街でなら、自分のしたいことが実現しやすいんだと感じます。酒田での次なるチャレンジとして、今月にはキッズマッサージの資格をとり、今より年齢が上のお子さんを対象にしたお教室も開きたいと思っています。移住や転勤で酒田に来た方もたくさん参加してくださるので、私が引っ越してきたばかりの頃に味わった不安や寂しさを共有し、この教室での出会いをきっかけにお友達の輪が広がってくれれば良いなぁと思います。親子の表情が見え、私の想いやマッサージの手技をしっかりと伝えられるよう少人数の定員ではありますが、産後のママさんのストレスや疲れを少しでも和げることができる場になるよう、これからも頑張っていきたいです。
お教室中は写真係も兼務!
ざっこしめ(魚の掴み取り)イベントでおおはしゃぎ♪
今回、取材場所としてご協力いただいた「えねこステーション」さんでは、志田さんのベビーマッサージ教室の他、クッキングイベントや親子ヨガなども開催されています。
「えねこステーション」を運営している荘内電気設備株式会社さんは、「商エネ」でも「省エネ」でもなく、地元庄内のエネルギー「庄エネ」を考え、サスティナブルな未来を目指しています。
【えねこステーション~庄エネの駅~】
住所:酒田市大宮町2丁目2-3
TEL:0234-28-8122
https://www.shonaidenki.co.jp/