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神奈川県からUターン

山科 沙織さん

人生今日が一番若いって思うと、チャレンジし続けたくなります

インバウンド向け事業を行う「The Hidden Japan合同会社」を設立し代表を務める山科さん。
酒田を拠点に世界へ情報を発信する山科さんのUターンまでの経緯やお仕事について伺いました。

高校2年でアメリカ留学

山形県三川町で生まれ育ちました。中学生の時にホストファミリーとしてアメリカからの留学生を受け入れた際、違った文化を持つ人と交流することの楽しさや言葉の壁によって思うようにコミュニケーションが取れないもどかしさを味わい、自分も海外留学をして英語を学びたいという思いが高まりました。高校入学後すぐに、英語の先生に留学したいと思っていることを相談し、高校2年生の時に一年間オクラホマ州に留学したんです。留学のためのプログラムとして事前にオリエンテーションキャンプのようなものがあり、日本人留学生100人ほどで過ごす期間があったのですが、首都圏や関西など大都市からの参加者がほとんどで、東北出身は私一人でした。誰一人として山形県を訪れたことがなく、すぐに皆から興味を持たれ、キャンプ中は「ヤマガタ」って呼ばれてました(笑)。


自分が生まれ育った場所は、日本人にさえもあまり知られていなく興味を持たれる地域なんだと知り、それを機に豊かな自然や人の温かさなど、庄内や山形の魅力を意識するようになりました。オクラホマ州への留学は、語学学校ではなく現地の普通の高校に交換留学という形で編入したので、全ての教科の授業やテストを英語で受け、アメリカ人のクラスメイト達と同じように評価されるという環境でした。なかなか過酷な環境でしたし、今みたいにSNSが普及していなかったのでホームシックにもなりましたね。日本の良さ、山形の良さを再確認した1年でした。

出会いに恵まれた、横浜での時間

帰国後は宮城県の大学に進学しました。大学在学中は将来の夢や目標がなかなか持てず、アルバイトをして渡航費を貯めては海外に行くことが楽しみでしたね。就職活動をする時期になってもその気持ちは変わらず、フリーターで働きながら目標を見つけようかなと思っていたのですが、両親からの猛反対にあい、就職活動することにしたんです。そしていくつか内定をいただいた中で、知り合いが勧めてくれた神奈川県にある会社の物流部門に就職し、横浜での暮らしをスタートさせました。

横浜での生活は、お金に余裕があったわけではないので楽しそうなこと全てを経験できたわけではないですが、それでも話題の飲食店に行ってみたりと、都会らしい体験も楽しみました。横浜に出て一番良かったことはかけがえのない友人との出会いですね。型にとらわれずフレキシブルな価値観を持った友人と出会うことができ、今でも定期的に会って良い刺激を受け続けています。
自然豊かな場所で子育てしたいという思いがあったので、娘を授かったのを機に庄内へのUターンを決意し、新卒で入った会社を辞めることにしました。住まいは関東にあるものの、場所に縛られない仕事をしている友人が多かったので、自分も地元に戻ってもやりたいことはやれるんだというイメージは持っていて、横浜を離れることに未練はありませんでした。もし数年後都会で暮らしたいと思ったなら、子どもと一緒に首都圏に移り住めば良いし・・・とも考えていました。結局Uターンしてから11年間、一度も都会に戻りたいとは思いませんでしたけど。


未経験からライターの世界へ

Uターン後は、子どもと一緒にいながら仕事が出来る環境が理想だったこと、そしてもともと「書く」ことが好きだったこともあって、リモートで出来るフリーランスのライターとして働こうと決めました。まずは自分のブログを立ち上げ、恋愛ドラマや美容、海外情報に関するコラムを数十本書き溜めて、大小様々な出版社などに直接連絡し、まさに体当たりで自分を売り込みました。ライターの仕事は文章を上手く書くだけではなくて、企画力も重要なんです。物事に対する「目の付けどころ」っていうんでしょうか。
ちょうどその頃はまだ雑誌などの紙媒体がウェブへと移行し始めたばかりの時期でしたし、編集部にどんどん企画を出す、当たり前のことですが納期を守る、「報・連・相」をしっかりすることで、仕事の依頼が増えていきました。出版社がある都心在住でなくても敬遠されませんでしたし、作家さんへの取材なども、電話で問題ありませんでした。週に一回の企画会議も、事前に提出しておいた企画書をリモートでブラッシュアップするので支障はなかったですし、行こうと思えば飛行機に乗って1時間で東京に着きますので、庄内にいても首都圏からの依頼を問題なくこなせました。
こう言うとあまり苦労せずライターとして進んできたように聞こえますが、実際は自分がやりたい仕事だけやってきたわけではなく、稼ぐために様々な分野の記事を、睡眠時間を削って書いていた期間も短くはないんです。


仕事の疲れも、豊かな自然が癒してくれます

でも、自分でやってみようと決めたんだったら、頑張るのが当然だと思うし、それで失敗したりうまくいかなかったら、その時にまた立ち上がれば良いんだって思っているので、悩んでいる時間があるなら、まず前へ進んでみようっていう考えでここまできた感じですね。この時期の私は、直接誰かと会って会話する機会はほとんどなく、娘の保育園の送迎の時だけすっぴん&部屋着で外へ出る生活だったので、保育園の先生からは「何しているママなんだろう」って思われていたかもしれません(笑)。

庄内初となる女性向けWebメディア「Float Shonai」の立ち上げ

ライターとして働いて数年経った頃、酒田にもコワーキングスペースが出来始め、私も東北公益文科大学のコワーキングスペースを利用するようになりました。するとそこで出会った県外からの利用者さんや学生さんから、地元のお店やおススメスポットを教えて欲しいと言われることが多くなったんです。その時、庄内に住んでいるのに私は地元のことを何も知らないということに気が付きました。インターネットで検索してみても、美容情報や子連れ向けの情報がなかなかヒットせず・・・。そこで、求められているサイトがないなら自分で作るしかないって思いました。
『Float Shonai』は検索した人が欲しい情報をスッキリ得られるメディアにしたいと考えました。そのため無関係な広告バナーが脇に並ぶようなネットサービス会社のシステムは使用せず、デザインやコンテンツの配置などのページ構築に始り、記事の執筆も自分で行っていたので、立ち上げた頃は苦労も多かったですね。あるセレクトショップに電話で取材依頼をした際に、「あなたはうちのお店に来たことはありますか?」と言われたことがあったんですけど、評判は聞いていたものの行ったことがなくて・・・。「一度来ていただいて、取材したいって思えたらしてください」って言われたこともありました。


Float Shonai インスタグラム
https://www.instagram.com/floatshonai

そんな経験もあり、実際に行って取材することを大切にしていますし、取材の予定なく入ったお店でも、「美味しい!このお店をもっと知って欲しい!」って思ったら、その場で取材交渉しています。スタートした頃は苦労もありましたが、やはり直接お会いしてお話をさせていただくと、その後の繋がりも生まれますね! 取材したお店の方とは今でも良いお付き合いをさせていただいています。現在は主にインスタグラムなどSNSでの更新を行っており、より簡単に情報収集していただけます!

山形の隠れた魅力を発信する「The Hidden Japan」の設立

「Float Shonai」の運営が軌道に乗り始めた頃に参加したとあるイベントで、ALTとして来日していたアメリカ人フォトグラファーと隣り合わせになり意気投合したんです。彼は、自ら撮影した写真を発信し「庄内の魅力を海外にPRする」というプロジェクト計画していました。私もこんなにも魅力ある庄内に訪れる海外観光客が少ないことをもったいなく思っていたので、彼の活動にすごく共感したんです。しかしWebサイトの制作などが進んでいなく、彼らの活動があまり知られていなかったので、ディレクション担当として私も一緒に働くことにしました。日本人向けの観光案内を英訳したサイトではなく、彼らの目線で山形の魅力を発信することで、国内外の旅行会社からの企画依頼も頂くようになりました。徐々に企業との仕事が増えてきたタイミングで法人化を決め、「The Hidden Japan合同会社」を設立しました。主に欧米豪のお客様をターゲットに、「観光×体験」を意識したツアー企画や、訪日外国人向けのプロモーション事業の受託、ネイティブライターによるメディア運営などインバウンドに関わる様々な事業を行っています。


フォトグラファーでもあるビジネスパートナー


「Hidden」とは、隠れた魅力という意味


山形県の観光スポットを海外にPR。
(動画での発信も力を入れています)

海外から庄内地方や山形県を訪れる観光客の多くは、既に日本の大都市は訪れた経験があるんです。ですので、自然や食文化、地域の人々との交流を組み合わせた、山形だからこそ「体験」できるコンテンツを企画しています。以前のように気軽に旅行できる世の中ではなくなってしまいましたが、少人数で比較的長期間の滞在となる私たちのツアーは、アフターコロナを見据えた海外の旅行業界からも問い合わせを多くいただいています。
The Hidden Japan(日本語サイト)
https://thehiddenjapan.co.jp/

これからも挑戦し続けたい

これからは、インバウンドだけでなく日本国内の旅行者向けの企画も増やしていきたいと考えています。まさに今月からスタートする【YAMAGATA CYCLING】は、「もっと気軽に、もっと楽しく、山形で最高のサイクリング体験を」をコンセプトに、フォトジェニックな名所を巡るコースやアートに触れるコースなどを用意しています。昨年11月にトライアルでサイクリングツアーを実施したのですが、庄内町~酒田市を電動自転車で巡る旅は、心地よい疲労感と大きな達成感を味わえたと、とても好評を頂きました。
田舎では車での移動が当たり前ですが、自転車でしか味わえない日差しや風を切る感覚、自転車の速度だからこそ見渡せる景色は格別です。ソーシャルディスタンスや換気の面でも安心なサイクリングツアーは、ニューノーマル時代にフィットするコンテンツだと思います。


ヤマガタサイクリング
https://yamagatacycling.com/

また今後は、女性である自分だからこそ提案できる企画も立ち上げていきたいと思っていて、美容や癒しを体験できるコンテンツも打ち出していきたいですね。都会で疲れた女性たちが週末山形で癒されるような「食・美容・体験」をテーマにした旅を企画したいと思っています。
そして最近では「みんなで山形を盛り上げたい」という想いが強くなっています。地域のお店や事業者さんと協力することで街の魅力は一層アップし、その雰囲気は観光客にも確実に伝わるので、私たちの会社では「おもてなし英会話セミナー」なども承っていて、自信をもって観光客を受け入れてくれる皆さんをお手伝いします。さらに、感染症予防対策PR動画をお手持ちのiPhone/iPadで制作できるキットを作成し無料で提供していますので、是非多くの方に使って頂き、お客様への安心のPRをしてもらえたらと思います。
【iMovie動画「新型コロナ感染予防対策」マニュアル】
https://yamagatacycling.com/news/27/


フォトジェニックな酒田の傘福

自分にとっての「楽しい」を大切に

決まった休日もなく、自宅でもできる仕事も多いので、オンとオフの切り替えは難しいところです。休んでいても仕事のことを考えてしまいますしね。
一昨年までは毎年、年末年始に家族でオーストラリアの友人宅に遊びに行くのが恒例で、そのために1年間仕事を頑張るっていうメリハリがあったんですが・・・。最近のリフレッシュ方法は、週1~2回通っているスポーツジムとお酒を飲む事ですね。自宅で飲む時はワインが多いですが、山形は日本酒も美味しいのでお店では日本酒も戴きます。健康のために通い始めたジムでは、筋トレ中心のプログラムをこなしていて、良い気分転換になっています。
オン・オフの切り替えが難しいワークスタイルだからこそ、日々を楽しむために「やりたいことをやり、食べたいものを食べる」ことを大切にしたいと思っています。一度きりの人生、楽しまないともったいないですから。


一昨年まで恒例だったオーストラリア旅行


アイディアが煮詰まった時は休憩も大切

移住を検討している方へ

まずは庄内に来てみて欲しいですね! 人生今日が一番若いので、今やりたいって思うことをやってみたら良いと思います!
酒田は食べ物がすごく美味しいですし、ちょっと車を走らせれば海があり、山があり、空港もあって東京へ1時間なので、すごく住みやすいですよ。都会の生活が合う人もいれば、田舎暮らしが合う人もいるとは思いますが、都会と田舎では幸せを感じるポイントが全然違うんですよね。私は断然、ここでの生活に幸せを感じます。
首都圏を中心にリモートワークも広がっているので、まずは「ワーケーション」という形で、現在お勤めの会社に打診してみるのもアリなんじゃないでしょうか? こういった入り口も、私たちの会社で企画したら良いのかな(笑) 。
若い方が地元に戻ることも地方にとって重要なことで、そのためには楽しそうな仕事や魅力的な大人の存在が大切だと思います。学生時代にはなかな出会う機会が少ないかもしれませんが、庄内で活躍している魅力的な人はたくさんいます。首都圏にいなくても楽しく充実した人生が送れるということをもっと知って欲しいですね。
先日、娘のクラスで講話を依頼されたのですが、会の最初に子どもたちに「山形は好きですか?」と質問したら、「好き」と答える子が予想以上に多かったんです。この子たちの未来のためにも、自分に出来ることをこれからも頑張りたいなと思います!


庄内は魅力溢れる場所です!

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