宮城県からUターン
上林 真子さん

温かさ溢れる酒田で暮らしたい
迷いなくUターンという道を選び、幼稚園の先生として働いている上林さん。
「酒田には何もないって感じる若い人も多いかもしれません。でも・・・」と語る上林さんのインタビューには、日々の暮らしに何を求めるかという問いへの、シンプルな答えが隠れているかもしれません。
プロフィールを教えてください
酒田市で生まれ育ち、6歳下の弟のお世話をするのが大好きな幼少時代を過ごしました。年の離れた弟はとにかく可愛くて、かいがいしく面倒をみていましたね。その影響もあってか小さい子と関わることが大好きで、幼稚園の卒園アルバムには「将来は幼稚園の先生になりたい」と書いていたほどです。その夢はずっとブレることなく、高校卒業後は幼稚園教諭と保育士の資格を取るために、仙台市の大学へ進学しました。卒業後、就職を機に酒田へUターンし、認定こども園天真幼稚園で念願の「幼稚園の先生」となって今年で5年目になります。実は私自身が天真幼稚園の卒園生なので、現在は当時お世話になった先生と一緒に働かせていただいているんです。子どもの頃の私は引っ込み思案で気も弱く、給食が苦手でいつも最後まで残って食べているようなタイプだったので、子どもたちや保護者の方々の前で発表する私の姿をみて、昔を知る先生からは「成長したね」と言っていただき、地元就職ならではの安心と温かさを日々感じています。
仙台での生活はいかがでしたか?
大学時代は、両親の強い勧めもあり4年間寮生活を送りました。私としては一人暮らしをしたいと思っていたので少し残念でしたが、平日は課題や実習、休日はアルバイトという生活だったので、結果的には朝夕食付きの寮に入れて良かったなって思いました。
大学生活にも慣れ始めアルバイト探しをしていた際に、仙台市内にあるキャラクターショップの求人を見つけ、きっと子どもたちがたくさん来るだろうと思ったのでやってみることにしました。ショップ店員としての接客が主な仕事ではありましたが、年に何回かキャラクターのイベントステージを運営する仕事もあり、イベントMCとしてきぐるみキャラクターと観客のお子様たちを盛り上げたり、ゲームの進行をしたりと、普通のアルバイトでは経験できないようなことにチャレンジしました。人前に立つのが苦手だった自分を変える良いきっかけにもなりましたし、現在の仕事では子どもたちの注意を引きながら発表しなければならない機会も多いので、このアルバイトの経験が生かされているなぁと感じます。
大好きなディズニーランドへは大学時代も遊びに行っていました
大学時代の友人たち
夢に向かって頑張っていました
大学の授業では、子どもの発達や教育に関してなど興味深い内容が多く、勉強のしがいがありましたね。ただ、教育実習で実際の現場に入らせていただいた際は、大学で習った知識だけでは役に立たないことも多く、「知識と熱意だけではダメだ、、、実際に働いてる先生たちは凄いな」と再認識しました。実習の初日は、子どもたちと思い描いていたような関わり合いを作ることができず、焦りと疲れから心が折れそうにもなりましたが、日が経つにつれ子どもたちも心を開いてくれ、たった数週間でどんどん成長する姿にすごく感動し、実習の最終日には「子どもたちの成長をもっともっとみたい!」と思い、幼稚園の先生になりたいという気持ちが一層強くなりました。
なぜUターンという道を選んだのでしょう?
卒業後に酒田へ戻るという思いは大学入学の頃から持っていました。私の中では、日々暮らす場所にすべてが揃っていて欲しいという思いはないので、仙台は買い物するにも遊ぶにも便利な場所でしたが、ずっと住む場所としての候補としては考えませんでした。
確かに、酒田には都会のような刺激はないかもしれませんが、毎日の生活では刺激よりもリラックスできる時間や豊かな自然のほうが私には必要だなって思ったんです。
また、県外へ出て酒田の良さにあらためて気付かされたということも大きいです。酒田を訪れたことのない友人から「酒田ってどんなところ?どんなことして遊んでた?」って聞かれた時に、「自転車で海に行って遊んでたよ」って言ったら、すごく驚いて羨ましがられたんです。私にとって海に行くことは特別なことではなかったので、酒田の恵まれた環境に気付くきっかけになりました。それにお米や海鮮など酒田には美味しい食べ物が多く、特にラーメンに関しては、仙台でも色々なお店で食べましたが、やっぱり酒田の味が一番で、帰省の際には必ずラーメン屋さんに行くようになりました。
贅沢な海辺の景色
お仕事のやりがいなど教えてください
大学卒業後は、自分がお世話になった天真幼稚園で働けることになり、期待に胸躍らせながら幼稚園の先生としての一歩を踏み出したのですが・・・。スタート2週間で立て続けにインフルエンザと胃腸炎を罹ってしまい1か月くらいお休みしてしまったんです。申し訳ない気持ちと情けない気持ちでいっぱいのまま職場復帰した際に、先輩の先生方が「大丈夫だよ!みんな通る道だから!」と優しく励ましてくださいました。詳しく話を聞いてみると、クラスで何かしらの風邪が流行りだすと新任の先生は必ず罹患するという「新卒先生あるある」だったみたいなんです。確かに私も3年目以降は一度も体調を崩すことなく働けていて、免疫と体力が付いたんだなと嬉しくなりましたね。
みんな大好き☆
園自慢の屋内プール
年間通して様々なイベントを企画
広々とした園庭での鬼ごっこは体力がつきます!
子どもたちと過ごす日々は、毎日が笑いと驚きの連続です。年中・年長の子どもたちは、丁寧に説明すると大抵のことは理解してくれて、話の表面だけじゃなく気持ちまで汲み取ってくれたりもするんですが、逆に「え? なんで今突然それをするの?」みたいな奇想天外な行動もしたりと、まさに成長の途中という瞬間がたくさんあってすごく面白いです。この時期の集団生活は、家庭の中では通る自分の意見が通らなかったり、我慢しなければならないこともありますが、お友達と一緒だから乗り越えられることもたくさんあるんですよね。お友達が美味しそうに食べているのを見て苦手な野菜にも挑戦してみたり、みんなが行っているから自分もトイレに行ってみようと思えるなど、周囲との関わりの中でどんどん成長していきます。その様子をご家庭に伝えると家では見せない姿にびっくりされますが、子どもたちは園で目一杯頑張っているので、お家ではたくさん褒めてあげてください!ってお願いするようにしています。
お誕生日会ではみんなの前で発表する体験も
ついつい真剣に子どもたちと遊んでしまいます(笑)
日々、大切にしていることはありますか?
子どもたちと接する時に大切にしていることは、1人1人の気持ちをしっかり受け止めることです。クラスで揃って何かに取り組む時間にみんなと一緒に活動に加われなかったり、お友達と役割を分担する際に自分の希望が叶わなかったりと、やらなければならないことと気持ちが噛み合わない時があるんですよね。そんな時は、まずは今の気持ちを聞いて受け止め、その後に気持ちが切り替えられるように一緒に取り組んでいます。また、運動が苦手だったり食が細かったりと、ちょっと不得意なことってみんなそれぞれあると思うんですけど、そんな時には、無理強いはしないけれど少しの挑戦はしてもらえるように声掛けしています。
この時期の子どもたちはほんのちょっとしたきっかけで出来るようになることも多いし、少しずつ続けていくことで苦手意識が減っていくので、「無理しなくて良いよ」という声掛けだと、成長の芽を摘んでしまうような気がするんですよね。ですので、跳べそうな高さや食べられそうな量を一緒に決めることで、小さな目標を確実に超えていく体験を積み重ねることも大切にしています。子どもたちの可能性は無限大ですから!
最初の数年は先輩からだけではなく、子どもたちにも助けてもらいながら一緒に成長させてもらっているという感じでしたが、今年の4月には園長から、「真子先生もいよいよ中堅ですね」と言っていただき、身の引き締まる思いで新年度を迎えました。まだまだ至らない事もありますが、子どもたちのために頑張っていきたいです。
オフの日など、酒田での暮らしはいかがですか?
Uターンを機に、念願の犬を飼い始めました。幼いころからずっと飼いたかったのですが、自分でお世話できないうちはダメだと両親から言われていたので、社会人になったら絶対に飼いたいと思っていたんです。そしてペットショップに立ち寄った際に私と同じ誕生日のトイプードルと出会い・・・運命を感じて即決して連れて帰りました。すごく可愛くて日々癒されています。
休みの日は愛犬と散歩をしてゆったりとした時間を楽しんだり、一昨年までは大好きなディズニーランドに毎年必ず行くなど充実した休日を過ごしていたので、「酒田に住んでいるからできない」ってことは何もないなぁと感じています。
コロナ禍の中では、遠出はなかなか難しくなりましたが、好きなカフェでランチをしたり、最近はヨガにも通い始めました。以前からヨガに興味はあったものの、なんとなく始められずにいたんですが、知り合いを通じてその教室を知ることで、ハードルがぐっと下がった気がしてチャレンジできたんです。これも、地元ならではの繋がりだなと感じますね。
愛犬とは車で海や山などへ出掛けます
酒田から三重県伊勢市へ旅行に☆
中町にある「モアレ」のランチ
Uターンを検討している方にメッセージ
私はUターンを前提に酒田を離れたので、あまり参考にならないかもしれませんが、就職活動の時期には県外へ進学した高校時代の友達同士で、どこで就職するかという話はしましたね。みんなそれぞれ酒田への想いもありつつ、地元を離れて挑戦したい気持ちもあって・・・。結果的に酒田へ戻ることを選んだ子もたくさんいますし、進学した地域にそのまま住んでいる子もいて、個人の意思次第だなあと感じます。でも、やっぱり生まれ育った地域は、すごく温かくて居心地が良いです。
知り合いでなくても自然とお互いが挨拶を交わしたり、困っている人がいたら声を掛けたりというのは、人口が多い都市ではなかなか難しいですよね。そんな地域の人たちとの関わりを窮屈に感じて酒田を出た人も多いと思うんですけど、社会人になって自分の車で出掛けられるようになると、行きたいところに行けるようになって自由度もぐっと上がるので、高校生の頃に感じた印象とは全然違う目線になれると思います。都会に比べると「何もない」という印象はあるかもしれませんが、遊びに行きたいと思えばどこへでも行けるし、自然豊かで空間的にも時間的にも余裕があるので、色々なことにもチャレンジしやすいし、そして困ったときには助け合える環境ってすごく理想的だと思います!!
映画「えんとつ町のプペル」の挿し絵を積んだラッピングバスが園に来てくれました!
◇認定こども園 天真幼稚園◇
”知恵の神様”である「ふくろう」を幼稚園のシンボルマークにしています。
この「ふくぼこちゃん」も、エントランスで子どもたちの成長を見守っています。
酒田市富士見町3-2-117
TEL:0234-22-7252
HP:http://www.wajun-honbu.ac.jp/tenshin-yochien/
天真幼稚園で待ってます☆彡