愛知県から移住
娘にかけてくれた優しい言葉が、忘れかけていた「温かい繋がり」を思い出させてくれた
積極的な情報収集と計画性で酒田市へ移住した藤本さん一家。市の移住施策も上手に活用し、「自分たち家族にとっての心地よい環境」を手に入れました。
山形県白鷹町で2人姉妹の妹として生まれ、のびのびと育ちました。
同じ山形県といっても白鷹町と酒田市では車で3時間くらいかかる距離で、小さい頃の海水浴といえば新潟の海のほうが近かったので、こちらへ来る機会はなかったですね。高校時代の部活の県大会で鶴岡市を訪れたことが唯一の庄内地方の思い出です。プチ旅行って感じで、遠かった~って印象ですね(笑)
関東の大学に進学した友達の紹介で福井県出身の夫と出会い、埼玉・白鷹の遠距離恋愛を経て25歳の時に結婚しました。ちょうど夫が長野県に転勤になったタイミングだったので、結婚して実家を出ると同時に見知らぬ長野での生活となりました。ずっと実家暮らしで地元を離れたことがなかったので両親と友達からはびっくりされましたが私は意外と平気でした。今思えば、地元から出てみたいって気持ちが私の中にあったのかもしれませんね。
長野では長女を授かり、支援センターなどを活用しながら子育てしていました。実家が遠かったので苦労した時もありましたが、環境が良かったのでのんびり過ごせました。娘が1歳8ヶ月の時に名古屋市へ転勤。大都会の雰囲気と環境に大きなギャップを感じたのを覚えています。
ずっと田舎でのんびり過ごしてきた私にとって、名古屋での子育ては予想以上に大変でした。とにかく車や人が多くて、公園に行くまでも歩道からはみ出さないようにドキドキしながら歩き、公園に着いてからも狭い敷地から飛び出さないように付いて回り・・・、気が休まらない状態でした。子育てセンターも常時解放型じゃなくて、曜日や時間が制限されている感じだったので不便でしたね~。雨の日や暑すぎる日には行く場所がなくて、狭いアパートで過ごす日が多かったです。さらに、都会では当たり前かもしれませんが保育園は待機児童でいっぱい、習い事ですら常に定員オーバーで・・・。どうにも辛くなってきたので「長女もゆっくりお友達と遊べるし、私も前から働きたいって考えてたから、無認可保育園でも申し込みたい!」って夫に話したら、私が鬱々とした状態でいることは伝わっていたみたいで、「良いんじゃない?」って言ってくれて、娘を預けて私も働きに出ることにしました。私が働いた分は保育園代に消えるって状態でしたけど、閉じこもっていた時期よりも娘も私もずっと健康的になりました。
長男も生まれ、名古屋での生活も3年目となった頃から、自然に囲まれて育った私たち夫婦の中で、地方への移住という選択肢が浮かぶようになりました。夫も毎日地下鉄の満員電車で揺られる生活に疲れを感じていたんでしょうね。「転勤族をやめたいね。自分たちが育ったように、子どもたちにも地元があれば良いよね」って夫婦で話をするようになりました。都会には都会の考え方や子育て環境があるけど、私たちがしたい子育てはここでは出来ないなぁって考え、移住を本格的に検討し始めました。
地方に行くなら私の実家に近いほうが良いんじゃない?って夫が言ってくれたので、山形県内でも求人の数が多そうな山形市で夫の仕事を探し始めたんです。でも、釣りが趣味の夫は同時進行で海沿いの地域でも転職活動をしてたみたいで、「酒田市に良い会社がある!」って言われたんです。そこからはスカイプ面接などを経て順調に選考が進み、その会社に転職が決まりました。ただ、私は正直不安でしたね~。同じ山形県とはいえ酒田には一度も来たことがなかったので「酒田の人って優しいのかな~」とか「知り合いもいないから、保育園事情とか情報収集できないな~」とか、出身地に帰るって感覚は全く持てなくて、心配事が多かったです。夫は・・・、すぐに釣りに行ける環境になることで、嬉しそうでしたね!(笑)
酒田市に移住することが決まってからは、インターネットの地図機能をフル活用して酒田市のリサーチを始めました。名古屋からではちょくちょくこっちに来るのが難しかったので、リサーチできる部分は入念に調べていましたね。「この地域は区画が整理されてて住みやすそうだね」とか「ここはスーパーとかが近くて便利だね」とか。時には子どもに「こんなに広い公園があるよ~!」って見せながら、引越しのイメージを共有していました。実際に酒田市に足を運んだのは2回だけで、1回目は自分たちで車を走らせながら土地の印象なんかを確認しました。そして気になった候補地域の保育園・幼稚園や学区についてなどを、酒田市の「移住相談総合窓口」に相談しました。年度の途中からでも娘と息子が同時に入れる園を調べてもらったり、その園の子ども達はどの小学校へ行く割合が多いか教えてもらったりと、かなり細かい情報まで聞いてました(笑)。
そして、2回目に訪れた時に平田地区にある「酒田市移住お試し住宅」を利用し、滞在費無料で移住に向けての準備をしました。移住担当課の方のアテンドで、その時点で入園可能な認定こども園を2つ見学したんですが、名古屋の園のイメージしかなかった私たちにとっては両園とも信じられないくらい広い園庭やのびのびと活動できる屋内スペースがあり感動!! 子どもたちも「広~い!」って驚いてました。私たち親が先生に質問している間は、移住担当課の方々が子どもたちを見ていてくれたのもすごく助かりました。そういうヘルプがないと納得いくまで話が聞けないままになってしまうので、ありがたかったです。園見学の翌日は家族でアパートの内覧をしたんですが、これも事前に地域を絞っておいたおかげでスムーズに決まりました。「移住お試し住宅」を利用しての一軒屋での暮らし体験に、子どもたちもテンションが上がって家中を走り回ったり、ドアというドアを全部開けてみたり楽しそうでした。私たち夫婦も、いずれ酒田市でマイホームを考えているので間取りとか暮らしやすさのイメージを家族で共有できました。2泊3日という短期間ではありましたが、移住に向けての準備がほぼ整って良かったです。
引越し後は広い公園でのびのびと遊んだり、新鮮な野菜が並ぶスーパーでゆっくり買い物する中で、だんだんと家族の中に流れる空気がゆったりし始めた感覚がありました。アパートも名古屋の時よりずっと広いので、お互いの存在は感じつつ自由な時間を過ごせるのが、すごく良いなって思いました。夫も帰宅時間が早くなり、夕食後に釣り道具のお店に行ったりもします(笑)。名古屋で働いている時は、帰りも遅くてストレスが溜まっていたからか、辛いものばっかり食べていたんです。それが、酒田に来てから全然食べなくなったんです!! 休日に釣りに行く時間も持てていて、楽しそうですよ~。私と子どもも一緒に行く時もありますしね!
長女は、幼稚園がスタートしたばかりの時は緊張していましたが、頑張って少しずつ慣れてきて、担任の先生から「春からいたみたいに馴染んでますよ!」って言われてホッとしました。
そして、一番大きな変化があったのは2歳の息子でした。それまでの息子は神経質で言葉もあまり出ないし偏食で、なんだか顔色も悪いなって感じだったんです。でも、酒田に来て広い公園でたっぷり自由に遊ぶようになって、みるみる表情がイキイキとしてきたんです。1人で黙々と遊びながら様々なことを自分からやるようになって、目を見張るような成長を見せてくれました。息子の変化を見て「あ~、この子にはじっくりと遊ぶ時間が必要だったんだなぁ」って気付かされました。狭い公園で私が付いて回るような状態じゃなくて、1人でたくさん走り回ったり、気が済むまで葉っぱや石ころを触ったりする時間がこの子には必要だったんですよね。名古屋では園に行く時に毎日絶対泣いていたのに、こっちの園では泣きもせず、あっさりとバイバイするようになりました。先生から抱っこされた途端、こちらを振り返りもしない時すらありますからね~(笑)。自然豊かで開放的な環境が、家族全員にゆとりを生み出してくれました。「広い」ということが、これほど大切で大きな変化をもたらしてくれることだったとは、気付きませんでしたね!!
とにかく、移住の効果というか良い影響が予想以上に大きいです! 都会でも四季は感じていたはずなんですけど、比べ物にならないくらい季節を感じるので、これから冬・春も様々なことが楽しみです!
ただ、「なんとなく」行ってみようかな~だとイメージと違った時にブレるというか、こんなはずじゃなかったってなる気がするんです。例えば夫婦どちらかの地元へ戻る場合なら、親戚もいるし「なんとなく」でもだんだんと慣れていくとは思うんですけど、私たちのように酒田に縁がないけど移住を考えている場合は、移住するにあたってのブレない条件を自分の中に持っていたほうが良いのかなぁって感じました。自分たちでも地域のことなど調べつつ、相談窓口を活用して協力してもらうといいと思います。
あと、酒田市には美味しいものがたくさんあるんですが、地元の方々には当たり前過ぎてガイドブックに載っていないものを発見できたりしますよ! 私と娘が見つけたのは「丸い餅」です(笑)。すっごい美味しくてつるつるピカピカしていて綺麗で感動しました。白鷹の両親にも送りましたが「こんな美味しいお餅が酒田にあるなんて知らなかった~」って言っていましたし、ネットで調べたらお取り寄せしてる人が全国にいる人気商品みたいなんです。こういう発見も移住者ならではの楽しめるポイントとしてオススメです!
私たち夫婦は酒田で育ったわけではないのに、ここの自然に触れていると「懐かしい」って感じるんです。きっと誰もが持っている「幼い頃の記憶」に触れる要素が酒田にはたくさんあるのかなあと思います。最近では「子どもたちが巣立ったら、俺は釣りをするからその横でママは絵でも描いたら?」なんて老後の話もしてて(笑)。腰を落ち着けた場所がここ酒田市で本当に良かった~って思います!!