東京都からIターン
その土地の良い面を見つけようという前向きな気持ちで移住した本間さんのインタビューには、スムーズに移住先へ溶け込めるヒントが満載です。
東京都八王子市出身です。東京といっても自宅の近くには多摩動物園の動物たちのエサを育てている牧草地や川があり、自然に囲まれた環境で生まれ育ちました。大学卒業後は医療事務の仕事に就き実家から都心の病院へ通勤していたのですが、混雑した電車に長時間揺られる日々が辛くなり、しばらくして杉並区阿佐ヶ谷で一人暮らしを始めました。同じ都内でも実家周辺の環境とは全然違い、人が多くて「都会で暮らしてる」って感じでしたね。
酒田出身の夫とは、私が新卒で入ったその病院で出会い、お付き合いを始めた頃から数年後には山形に戻るつもりだと聞いていたんです。私自身もいずれは自然豊かな場所で暮らしたいと思っていたので、酒田市という名前は聞いたことすらなかったですが、新しい生活が楽しみな気持ちが膨らみました。家族や友人たちと離れてしまうことの寂しさはもちろんありましたが、ワクワクのほうが勝ってましたね!
初めて酒田市を訪れたのは結婚することを決めた時だったんですが、「昨日まですごく寒かったんだよ」と言われましたが、その日はお天気が良く、あちこちに綺麗な花が咲いていて、素敵な街だなって印象でした。風が強くて、雪は降るんじゃなくて下から舞い上がるんだって聞いていたので、覚悟して来ただけに良いギャップを味わいましたね(笑)。また、この時に義理の父が車で酒田市内を案内してくれたんですけど、行く先々でそこにまつわる歴史や思い出話をしてくれて、地元の人から愛されている街なんだなって思いました。また、街に歴史の厚みがある感じがして、酒田を好きになりましたね。
移住後は夫の両親やお兄さんたちが、まだ小さかった娘に会いに寄ってくれたり、食事に誘ってくれたり何かと気に掛けてくれたので、慣れない土地でもスムーズに生活をスタートさせることができました。日常のちょっとした疑問などを気軽に聞ける存在がいるっていうのは、すごく心強いと思います。また、積極的に外出して友達を作るタイプではなかった私に義母がベビースイミングを勧めてくれ、そこに通い始めたことで徐々に交友関係も広がったので、本当にありがたかったですね。
まずは時間的な余裕が生まれたことが大きな変化ですね。東京にいる時から、夫も積極的に育児をしていましたが、通勤時間だけで往復3時間かかっていたので、限界があったんです。でも今はその通勤時間がまるっと家族の時間になったのが嬉しい変化です。酒田に戻ってから夫がすごくリラックスしているのが伝わってきて、通勤時間や満員電車がかなりストレスになっていたんだなって、移住してから気付きました。夫婦ともお酒が好きなので、機会があれば酒田の美味しい日本酒を一緒に飲むようにもなりました。
また、東京にいる時はペーパードライバーでほとんど運転していなかったんですが、酒田は道が広いし車通りもそんなに多くないので、安心して運転できるようになりました。さすがに冬は雪が多くて、初めて前が見えなくなる「ホワイトアウト」を経験したり、ありえない滑り方をするなどちょっと怖い思いもしましたが、スピードさえ出さなければ大丈夫なんだなって自信もつきました。
はい! 築40年の空き家を購入してリフォームしました。移住する際、住まいに関してこだわったポイントは、「義理の両親の近くに住む」ということでした。子どもにとって、お世話してくれたり困ったときに助けてくれる人が多いというのはすごく心強いし、いろんな価値観の人と接することが大切だなと思うんですよね。なので移住してすぐの住まいは、子どもが少し大きくなったら歩いて行き来できる地域のマンションに入居し、一軒家を買う計画はなかったんです。でも2人目が生まれ、部屋が手狭になったこともあり、住み替えを検討することにしました。ただエリアは絶対に変えたくないと思っていたので、なかなか見つからず・・・、以前住んでいたマンションからほど近いこの物件に出会えたのは本当にラッキーでした。そして住宅購入とリフォーム費用の一部は、「酒田市住宅リフォーム総合支援事業」と「移住定住者住宅支援補助金」を利用させてもらったのですが、移住者向けの住宅補助金は、あと1年この物件との出会いが遅かったら該当しなかったので、やっぱり運命だったのかなと思います。補助金の情報もありがたいことに職場の方が教えてくださって、酒田の人ってとても面倒見が良くて優しいなぁと思います。
どこに行っても、良い所や大変なことってあると思うんですけど、私はどんなところに住んだとしてもそこを楽しみたいって考える性格なんです。なので、そうじゃないタイプの方に「どうぞ!来てください!」とは軽々しく言えないところはありますよね・・・、冬はそれなりに寒いですし。 でも、移住を検討しているということは、理想の暮らしのイメージみたいなものがあるかと思います。私の場合は、自然が豊かな場所で暮らしたいって気持ちでしたし、夫にとっては自分の生まれ育った場所で子どもを育てたいって気持ちですね。そういう気持ちがブレなければ、あとは暮らしながら楽しみを見つけていけるんじゃないかなって思います。酒田の人ってシャイな人が多いんですけど、子どもと近所を歩いていると、必ず声を掛けてくれるので、娘も挨拶を返したり、自分からどんどんおしゃべりを始めたりして、その温かさと距離感がとっても心地良いんです。東京では小さい子に声を掛けたいなって気持ちを持ってる人はいても、気軽に話しかける文化がないので、こういう交流も地方ならではですよね。
時間的にも空間的にも余裕のある暮らしの中で、家族みんながのびのびと生活を楽しんでいて、酒田に移住して良かったと思っています!