東京都から移住
酒田へ来て、想像もしていなかった自分と出会えました!
知り合いがいない寂しさを味わったからこそ、お友達家族とワイワイ過ごす時間や人とのつながりを大切にする鈴木さん。移住までの経緯や酒田で子育てをするなかで起こった「変化」などを伺いました。
渋谷区恵比寿の出身っていうと、必ず「すごい都会から来たんだね!」なんて言われちゃうんですけど、私が住んでいた頃の恵比寿は今みたいな憧れのイメージではなく、思いっきり遊べる公園と大きなビール工場があるだけの普通の街だったんです。周りの友達もおばあちゃんたちと3世代で住んでいる世帯が多く、昔ながらの普通の街並みでした。あんなに注目されるようになったのは私が小学校高学年くらいからですよ。
友達が住む社宅内の空き地や近くの公園で毎日遊ぶような、酒田の子どもたちと変わらない子ども時代を過ごしてました。母の実家が鶴岡だったので毎年必ず夏休みは遊びに来ていて、親戚のおじさんが海や山、庄内の色々な美味しいお店に連れて行ってくれたので、すごく楽しくて大好きな地域でした。まさに私にとって庄内は毎年帰る「田舎」だったんです。なので、酒田出身の夫と大学で出会った時に庄内の話で盛り上がり、結婚までたどり着いたのは自然な流れだったのかもしれませんね!
夫のご両親が会社経営をしていて、3人兄妹の真ん中長男だったので、いつかは酒田へ帰るんだろうなぁとは思っていましたが、結婚して数年は横浜市で生活していて、私も管理栄養士の資格を生かした仕事をしていました。ただ、いつ酒田へ帰るのかがわかっていないとライフプランが立てづらいなぁと思い、夫に「何年後に帰るつもりなの?」って聞いたら、「じゃあ、3年後!!」って決めたみたいで・・・、結果的に私が帰るきっかけを作った感じでした(笑)。
酒田へ帰るまでスキルアップのために別の勤務先を検討し始めた矢先、長男を授かったんです。なので転職はせず出産を機に退職し、約束の3年で酒田へ引っ越すことになりました。その時息子は7ヶ月。まだまだ手が掛かる時期だったので、このタイミングでの移住は大変なんじゃない? なんて心配もされましたが、小さい息子がいたからこそ新しい土地に馴染みやすかったし、友達作りのきっかけにもなったので、酒田市に移住する私のために息子が時期を選んで産まれてくれたんだなって思います。
小さい頃から馴染みのあった地域だからか、東京を離れる時はあまり寂しいと思わなくて、事前に何度か酒田へ足を運び、夫のご両親が所有していた空き家をリフォームして住む場所の準備をしました。移住してまず車の免許が必要だねっていうことになり、息子を預けて教習所に通いました。息子がまだ7か月だったので、預ける私も預かる夫も大変で「絶対に最短で合格しなくちゃ!」って必死でした(笑)。その甲斐あって3週間で合格。義母が車のお下がりをくれたのですごく助かりました。義両親には、数年後に家を新築した時もすごく力になってもらい、居心地の良い庭のある平屋を建てることができました。東京からきた私を気遣ってくださってありがたかったです。
車の免許は取ったものの土地勘もなかったので、まずはベビーカーでたくさん散歩をしましたね。東京でもベビーカーや抱っこ紐で常に行動していたので。ところが、車社会の酒田ではベビーカーでウロウロしてるママがあまりいなくて・・・。少しギャップを感じると同時に、「私も運転の練習をして出掛けよう!」って切り替えて、夫に付き合ってもらいながら中町の交流ひろばや住吉町の酒田子育て支援センターへ行く練習をしました。初めて立体駐車場に乗り入れた時はすごく緊張したのを覚えています(笑)。
私にも息子にもお友達が出来れば良いなぁと思って、毎日のように遊び場へ出掛けました。でも顔見知りの親子と少し会話をして・・・とはなるんですが、連絡先を交換するとか、ちょっと休憩スペースでお茶でも飲みながら話そうという流れにはならず、なかなか「友達」が作れない、そんな自分を責めて落ち込んだ時期がしばらく続きました。夫は日中仕事だったので息子と二人で過ごすわけですが、誰かと話したくて仕方がなかったですね、あの頃は。私たちの家と同じ敷地内に夫のおばあちゃんが一人で住んでいたので、庭で息子を遊ばせながらおばあちゃんとず~っとおしゃべりしたり、スーパーのレジの方と話をしたりして、何とか「誰か」と繋がっている状態でした。それでも引きこもる性格ではなかったので、ベビースイミングや遊び場へは通っていたんです。そしたらついに、同じく移住者で子ども同士の誕生日が近い親子と仲良くなれたんです!! 様々なシチュエーションが一緒で、まさに意気投合! その親子と酒田市にいくつかある子育てサークルの1つに入ってみようってなって、そこから一気に自分のコミュニティが出来たというか居場所みたいなものを作ることが出来たんです。
長男が小学校、長女が幼稚園に入るのを機に、義両親の会社を手伝うことになりました。将来的には手伝うつもりでいましたがまだ先だろうと思っていたので、義両親の会社に入る前に、自分の持っているスキルを生かす仕事でしばらくは働きたいなってずっと考えていたんです。それが叶わなくなってしまい、自分の資格が無駄になるような「寂しさ」と、初めからわかっていたんだしという「諦め」の気持ちで、しばらく凹みました。でも、落ち込んでても仕方ないしなぁと思っていた時に、「編み物」に出会ったんです。たまたま知り合いが使わずにあった糸を譲ってくれて・・・。ハマりましたね~!!(笑)自分でもびっくりするくらい集中できて夢中で作りました。家事や育児ってゴールがないじゃないですか? ところが物作りには「完成」っていうゴールがあるんです。その達成感は久々の感覚でした。すぐにミシンにもハマり、今は編む・縫うを組み合わせて作品を作っています。今も飽きることなく続いている、私の「支え」になっている趣味です!
あとは、ランニングも始めたんです。色々なコースを試行錯誤しながら走って、自分にとってベストなコースを最近やっと見つけました! 夕飯を作って子どもたちに食べさせ、帰ってきた夫にバトンタッチして出掛けます。ナイトランですね。走り終わると、すっごい汗の量なんです。気持ち良いですよ~!! 帰宅してそのまま子どもたちとお風呂に入るっていう流れで、週に1~2回頑張ってます。時には近所のママ友も参加してくれて、リフレッシュの時間になっています。
せっかく田舎に移住してきたんだからゆったりとした気持ちで子育てしようと思い、息子が泥んこになりながら遊んだり、虫を手づかみで集めたりしているのを止めることはしませんでした。母親から「泥がついてて汚いよ!」とか「虫なんて捕まえないで~」って言われたら、そういうことを「しちゃダメなこと」って思っちゃうんじゃないかなぁと思ったんで・・・。私自身は虫は得意なほうではなかったんですが、息子がミミズやダンゴムシを掴んで嬉しそうに見せてくれるので、「すごいね~」って言っていました。内心はゾワゾワしてましたけど(笑)。 そんな風にのびのび育った息子は、成長するにつれ親の私が感心してしまうほどの「虫博士」に成長しました!! 様々な虫を触ったり観察したりして、2年生になった今では私では全然わからないような昆虫に関するクイズの本なんかも読んでいます。
息子の「こんな虫を捕まえてみたい!」って気持ちに応えるため、同じく虫大好きの子どもを持つ仲良し家族と一緒に色んな山に虫取りに行きました。「玉簾の滝」周辺はバッタや蝶、その他たくさんの虫がいるのでお気に入りスポットなんですが、去年そこで大きなオニヤンマを見つけたんです。その時はもう子どもより大人が大興奮で!! 子どもから網を奪って捕まえようとしたんですが間に合わず・・・。今年は絶対に捕まえよう! すぐに対応できるように大人用の虫網を用意しよう! ってすごい気合で挑みました(笑)。そんな熱意が実って無事に捕まえることができたんですけど、想像してたよりずっと大きくて感動しました。子どもたちと一緒にじっくり観察してから逃がしましたけどね。
去年から今年にかけては、クワガタの孵化~成虫になるまでの成長も見届けました。息子が中心となってお世話するんですが、私もだんだんと愛着が湧いてきちゃって、こっそり「元気~?」なんて話しかけながら様子をみたりしました。さなぎから少しずつ顔を出す姿は、たまらなく可愛かったです!! 同じく虫好きな息子を持つママ友と「昆虫の可愛い瞬間」みたいな話もしてて・・・自分の変化に驚きます!!(笑)。
酒田市は、自然が豊かで心地よい街です。日本海に沈む夕日や、広々とした青空に鳥海山が綺麗に見える日は心が洗われる気がします。食べ物も最高で、釣りが趣味の義父が釣ったばかりのお魚を捌いてお刺身を作ってくれるんですが、これがすごく美味しくて。。。私はもちろん娘も小さい頃からパクパク食べてます。庭でバーベキューをしたり季節のフルーツをお腹いっぱい食べたり・・・よく考えると贅沢なことがここでは「日常」なんです。移住への不安はあると思いますが、私のように自分でも想像していなかった趣味に目覚めたり、興味がなかった昆虫に愛情が湧いたりと(笑)、不安以上に新しい「出会い」があります!
そして実際に酒田に移住をしたら、知り合いを作ったりイベントやサークルに参加したり、地域の方々との輪を広げていったほうが良いかなって思います。もちろん、最初はなかなか友達が出来ないかもしれないし、心が折れそうになる時もあるかもしれません。でも酒田の人は本当に優しい方が多いので大丈夫!! 関東と違って「お出掛けスポット」には限りがありますが、見える景色や流れる時間は「人との繋がり」で無限に広がっていくと思います。大人も子どもも一緒に楽しめる日々が、ここ酒田でなら叶います!