森 楓さん(仙台出身)・航輔さん(東根出身)
森さんご夫妻は2人とも地元は酒田ではありませんが、結婚・出産されたのも酒田に移住をしてから。移住の決め手となった酒田の魅力や地元を離れての子育てに不安はなかったか、お話を伺いました。
楓さん:大学生のときは山形市で暮らしていましたが、ゼミの活動で酒田をはじめとした庄内地域に行くことがありました。そのときから環境や人の良さに触れて「居心地の良い場所だな」と思っていました。学生時代には「アルケッチャーノ」の奥田シェフのもとで働く機会があったのですが、美味しい野菜を育てるために土づくりや土選びからこだわっていることを知って、食の世界の奥深さに感銘を受けました。私も庄内で食に関わる仕事がしたいと思い、酒田に2か月ほど住み込んで地域の会社のインターンを受けました。それが移住への第一歩だったかもしれないですね。そして酒田の会社に就職が決まり、そのまま移住しました。
地域の皆さんも優しくて、ジャガイモやさくらんぼなど、よく食べ物を分けていただきます。ただでもらってしまって良いのかなと思いましたが「余らせて腐らせるともったいないから、持っていってもらえると助かる」と言われて、本当に食が豊かなんだなって実感しました。移住してから特に不便に感じたことはないですが、雪が多いので冬場の運転は今でもちょっと怖いです。特に吹雪になると視界が真っ白で何も見えなくなるので、天候が悪いときはあまり運転しないようにしています。それから、酒田では冬に雷が鳴るのですが、これは世界的に見ても限られた地域でしか起こらない、珍しい現象だそうです。最初はびっくりしましたが、今ではすっかり慣れてしまいましたね。
楓さん:私は出身が仙台で、夫は東根なので2人とも実家から少し離れていますが、子育てするにあたって特に不安はありませんでした。移住者交流会を通じて知り合いも増え、子育てを経験された人や「私は第2の母よ」と言って気にかけてくださる人もいます。妊娠・出産の時期がちょうど新型コロナウイルスが猛威を振るっていたタイミングと重なったので里帰りは控えたのですが、地域の中で頼れるつながりができていたので心強かったですね。
航輔さん:1人目の子どもが生まれたときに2カ月、2人目のときに3カ月の育休を取りました。勤務先の部署では、男性での育休取得は私が初めてだったのですが、職場の理解もあり問題なく休みが取れました。子どもとは外に遊びに出かけることが多いです。中町の交流ひろばや子育て支援センターがあるので遊び場には困りません。子どもの医療費が18歳まで無料になる子育て支援制度もあるので、子育てしやすい環境だと思います。
楓さん:子どもたちはまだ小さいですが、もう少し大きくなったらさくらんぼ狩りや田植え体験をさせてみたいですね。地元産の美味しいものを食べたり、自然に触れたりして地域の魅力を知ってほしいです。私たち夫婦にとって酒田は地元ではありませんが、この子たちにとっては地元になりますので、酒田のことをもっと好きになってほしいなって思いがあります。
楓さん:他の地域からの移住では、人間関係を気にされる方も多いと思います。私はもともと山形の大学に通っていたので、地元が庄内だという友達も多かったです。移住してからも移住者交流会や同世代での飲み会など、集まる機会があるときは参加して酒田での知り合いを増やしていきました。子どもが生まれてからは地域の子育てサークルに入ったのですが、夫の転勤で酒田に来たという人も結構いて、子どもの遊び場とか、子どもと行けるお店についてよく情報交換していますね。「べいびーさーくる」という0~3歳までの子どもの育児サークルが週1で開催されていて、そこに行けば誰かしらに会えるので安心感があります。
今、子育て中のお母さんと一緒になって、酒田で「おもちゃ図書館」を始める活動をしています。地域の方におもちゃを無料で貸し出して遊んでもらう、そういう場づくりをするという形で行っています。地域のことや子育ての情報は、どこかに行ってつながりを持たないと手に入りづらいもの。その一歩がなかなか踏み出せずに孤立してしまうこともあるので、この「おもちゃ図書館」がお母さんたちの交流が生まれるきっかけのひとつになればと思っています。お母さん同士のつながりができれば、子どもたちも一緒に遊べるようになりますし、自分も子育てをするようになったからこそまた新しい活動をしていきたいです。開催情報などはInstagramアカウント「おもちゃ図書館 うっぷたっぷ」で発信しています。興味がありましたら、ぜひチェックしてみてください。
楓さん:酒田は人が温かく、移住してきた人も受け入れてくれる土地だと思います。私も酒田に来てから知り合いが増えました!
航輔さん:移住者交流会は年3回ほど開催しています。
同じ移住者同士で親睦を深める良い機会になりますので、ぜひご参加ください。