東京都からIターン
地域の魅力を発見することを楽しみ、身近な幸せを積み重ねながら日々を送る後藤さんに、移住のきっかけや酒田での暮らしについて伺いました。
移住前は東京の中学校で教師として働いていました。その学校に赴任してきたのが酒田出身の夫だったんです。山形県出身の新しい講師の先生が来ると聞いていたんですが、私はなぜか秋田県と勘違いして記憶していました。ある日夫と帰りのバスが同じになった際に、私の大好物のミルクケーキというお菓子を渡して「このお菓子、知ってますか?美味しいんですよ!」と話し掛けたら、「知ってますよ! 地元山形のですから!」って言われて、それが山形の名菓だって初めて知ったと同時に、夫が秋田県ではなく山形県出身だという勘違いに気付きました(笑)。 お付き合いを始めた頃、既に夫は酒田へのUターンに向け動き出していて、結婚が決まった時には山形県教員試験に受かって酒田へ戻ることが決まっていました。ですので勢いが全てって感じで、結婚と同時に私も酒田へ移住することにしたんです。
酒田を初めて訪れたのは移住する直前のお正月で、雪がたくさん積もっていて感動しました。その年は雪が多く、それまでウィンタースポーツなどやったことがなかったので、雪景色が新鮮でした。白鳥が飛来することで有名だと聞いていたので見に行ったら、予想以上の数に驚きましたね。外を歩いてる人間の数より白鳥のほうが多かった!!(笑)また、レンタカー会社のおばちゃんがすごくフレンドリーで、酒田の良いところやおススメのスポットなどを丁寧に教えてくれ、事務的なやりとりだけじゃなくて温かい関りがあっていいなって感動しました。そしてお昼には「花鳥風月」の海老ワンタンメンを食べました。ワンタンの皮の薄さや美味しさにこれまでの概念が覆され、移住後に趣味となったラーメン食べ歩きのきっかけにもなりました。
庄内地域は果物が美味しいんですけど、私がよく行くさくらんぼ農園さんには、期間限定でカフェもオープンするんです。パフェやコーヒーなど頂けて大満足!さくらんぼの木の下って不思議と心地よく新鮮な空気に包まれていて、東京では絶対に味わえない贅沢な時間を満喫できます。同様のイベントで「ぶどう園と小さなカフェ」というぶどう狩りバージョンもあり、こちらも美味しくて楽しくて大満足ですよ! SNSを駆使して情報を集めている中で、『庄内おばこ華の会』という地域に根差した団体がメンバーを募集していました。踊りの経験はありませんでしたが楽しそうだったので、思いきって入会してみることにしました。酒田市の夏の大イベントである甚句流しで躍らせていただいて、すごく良い経験になりました。入会した翌年に息子が生まれ、その年は甚句流しへの参加を断念しようかとも思ったのですが、0歳児連れでの練習参加を会の皆さんは快く受け入れてくださり、練習中には代わる代わる抱っこしてもらいながら、無事に参加することができました。
酒田の人は、本当に温かく優しいです。よく「来るもの拒まず」って表現されますけど、まさにそうだと思います。新しい物や楽しいことが好きな港町の気質ですね。ただ、裏表なくサッパリしていて「去る者追わず」な一面もあるかなぁって感じます。なので、酒田に移住した人たちが強く繋がれる場所を作りたいっていう想いで、「庄内で暮らそう!移住者交流会」の副会長をやっています。年に3回、様々なアクティビティを企画していますが、秋は必ず芋煮会を開催しています。もちろん豚肉&味噌味の庄内風ですよ!親子ほど歳の離れた方から釣りのお話を聞いたり、初対面の人と好きなラーメン屋について語り合ったりと、移住者交流会だからこそ作れた「つながり」を、これからも広げていけたらと思います。「移住者交流会」とはいうものの、移住者ばかりが集まるばかりではなく、これから移住する人・移住して間もない人が、庄内出身の方々と話して雰囲気を掴んだり、今後の人脈に繋げるのも大きな目的なんです。移住希望者の人が、「ああ、ここで楽しくやっていけそう」って思えたら万々歳! 色々なロールモデルがあると移住を考える人にとって心強いはずなので、様々な年代の地元の人にもぜひ参加して欲しいと思っています。
移住者交流会ももちろんですが、色々なイベントに積極的に参加すると、その地域の方々の特徴というかどんな空気感かがわかるので、ぜひ参加してみて欲しいと思います。都会では得られない人と人との繋がりを改めて感じることができますよ。数年前、酒田市内の小学校で「移住者からみた酒田の魅力」をテーマに、お話しさせて頂いたんですけど、生徒たちに酒田に足りないものやあったらいいなと思うものは?って質問したんです。そしたら「足りないものなんて何も無い、酒田はこれでいいんだ!」って意見が出たんです。小学生が胸を張ってこう言える酒田市って素晴らしいと思います!!